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仙台高等裁判所秋田支部 昭和24年(を)182号 判決

被告人

太田正一

主文

原判決中被告人に関する部分を破棄する。

本件を靑森地方裁判所弘前支部に差し戻す。

理由

職権をもつて記録を調査するに、

原判決は被告人に対する罪となるべき事実の摘示中、第一、被告人正一は法定の除外事由がないのにも拘らず(一)昭和二十四年四月下旬頃、靑森縣南津軽郡大杉村大字德裁子字早稻田九十六番地二号織田幸一方で政府食糧公團その他農林大臣の指定する者以外の者である右幸一妻織田キヨ及び小田桐ミサの両名に対し粳精米四斗入六俵を代金二万四千円で販賣し、(二)同年五月上旬頃前同所において前記両名に対し粳精米四斗入六俵を代金二万四千円で販賣し、と判示し、また、第二、被告人正一及び正三は法定の除外事由がないのにも拘らず共謀の上(二)その頃前記大杉村大字德裁子字山本二番地阿部武雄方裏庭において農林大臣の指定した者以外の住所氏名等の不詳の者数十名に対し前記粳精米十八俵を代金合計七万余円で販賣し、と判示しているが、まづ、判示第一、(一)(二)において、織田キヨ及び小田桐ミサが被告人から粳精米四斗入六俵を各共同して買受けたものか、別個に買受けたものとすれば、その俵数は何程か、を明示していないし、同第二、(二)においてはこれを一罪と認定したものか、或は数十個の併合罪としたものか、判文中明かでないが、これを前者とすればその理由を、後者とすれば食糧管理法違反の具体的判示として必要な買受人の氏名またはその買受数量を明示しなければならないのにも拘らず、これを示さない等の不備違法があるから原判決中被告人に関する部分は到底破棄を免れない。

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